国立がんセンター中央病院
1996 第47回
メディカル・カンファレンス
日 時:1996年11月14日(木) 16:00-17:30
場 所:国際交流会館 3階(多地点TV会議方式)
テーマ:「卵巣がんにおける末梢血幹細胞移植術(PBSCT)」
※今回は、国立病院四国がんセンターからの発信です。
進行卵巣がんにおいて造血機能の早期回復を特徴とする
末梢血幹細胞移植術(PBSCT)を応用した超大量化学療法が、本疾患の
予後改善を得るための新しいがん治療戦略として注目されている。
しかし、PBSCTの前段階であるPBSC採取のための標準的なRegimenは
確立されておらず、CDDPの使用による幹細胞採取効率の低下も言われている。
今回とくに化学療法の相違による幹細胞採取効率を検討するとともに、
本法を併用した自験例を当院および国立呉病院産婦人科から呈示する。
活発な討論を期待します。
司会 国立病院四国がんセンター外科・臨床研究部 多幾山 渉
- 1)卵巣がんにおけるG-CSFを併用した化学療法の相違による幹細胞採取効率について
国立病院四国がんセンター婦人科・臨床研究部
日浦 昌道
PBSC採取のための標準的なRegimenを確立するため、G-CSFを併用した
化学療法の相違による幹細胞採取効率から臨床応用を検討した。幹細胞採取は
化学療法による骨髄抑制の程度に応じて良好で、CFU-GM数と幹細胞の
表面マ−カ−であるCD陽性細胞数は相関した。CDDP併用化学療法で
幹細胞採取効率を上げるためには、骨髄抑制の強い薬剤の適切な選択、
増量がきわめて重要であることが示唆された。
- 2)当院における卵巣がんの末梢血幹細胞移植術(PBSCT)
国立病院四国がんセンター婦人科・臨床研究部
野河 孝充
卵巣がんの末梢血幹細胞移植術(PBSCT)の自験例から本法の臨床応用を
検討する。腫瘍容量の大きい症例は抗腫瘍効果はあまりみられず、適応と
してはSecond Look Operationで腫瘍容量の著減例あるいは顕微鏡的陽性例と
思われた。
- 3)3)卵巣がんにおける末梢血幹細胞移植術(PBSCT)の経験例
国立呉病院産婦人科
藤井 恒夫
卵巣がんにおけるPBSCTを経験したので、幹細胞採取法および骨髄機能の
回復を含めた副作用を中心に報告する。G-CSFの大量使用により十分な
幹細胞が採取され、重篤な副作用もみられず、好中球の回復もすみやかであった。
(次回、11月21日は、国立がんセンター中央病院からの発信で「がんの悪性度を考える」です。)
Last Update: 961113, hmizushi@ncc.go.jp