国立がんセンター中央病院
1996 第45回
メディカル・カンファレンス
日 時:1996年10月31日(木) 16:00-17:30
場 所:国際交流会館 3階(多地点TV会議方式)
テーマ:「がん診療の新しい試み」
がんの早期発見、治療成績の向上、侵襲の少ない治療法の開発を求めて、現在、
国立がんセンター中央病院で行われているがん診療の新しい試みについて報告する。
率直で活発な討論を期待します。
司会 国立がんセンター中央病院内科 岡田 周市
- 1) 乳がん微小病変の検出の試み
国立がんセンター中央病院外科 明石 定子
乳がんに対する乳房温存療法では、乳管内進展巣(EIC)の存在ががん遺残の要因であり、局所再発の危険因子となる。現在はマンモグラフィーや超音波がEICの存在診断に用いられているが、その感度は限界がみられ、より優れた診断法の開発が切望されている。最近、当院で開発した造影ヘリカルCT、およびTO乳がん、特に血性乳頭分泌症例に対する乳管内視鏡について報告する。
- 2) 新しい粘膜切開用高周波ナイフを用いた早期胃がんに対する内視鏡的粘膜切除術
国立がんセンター中央病院内視鏡部 細川 浩一
早期胃がんの内視鏡的切除において、粘膜切開はより大きな病変を一括して切除できる有用な方法であるが、従来の高周波針状ナイフでは手技的にきわめて困難であった。最近、安全かつ容易に粘膜切開が可能である先端絶縁球付き高周波ナイフ(Insulating-tipped diathermic knife;ITナイフ)を開発し、臨床応用を開始した。ITナイフを用いた内視鏡的切除方法を紹介する。
- 3)直線加速器による定位放射線治療(SMART)
国立がんセンター中央病院放射線治療部 角 美奈子
定位放射線治療システム(SMART)は、直線加速器(リニアック)の6MV X線を用いてガンマナイフと同等の線量集中性を得ることができ、さらに分割照射も可能である。当院ではSMARTを1991年から脳内病変に対して適用している。高度先進医療にも承認されたSMARTの治療成績および今後の可能性について報告する。
(次回、11月7日は、国立がんセンター東病院からの発信で「地域医療における情報技術の動向」です。)
Last Update: 961021, hmizushi@ncc.go.jp