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ラトガース大学&ウッズ・ホール海洋学研究所
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(0056) 沿岸域と海浜域は、レクリエーションそしてビジネスの場に最適です。 しかし、その利用は、 漁業関係者、科学者、産業資本家、環境保護論者、 そして一般大衆の議論の的でもあります。 沿岸域に関する情報が不足しているのも確かなようです。
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(0118) その背景には、海洋研究にともなう制約があります。
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(0124) 海洋生物学者や海洋学者が最も困ることのひとつに、 十分な時間を現場でとれないことがあります。 船の使用料は高く、天候なども支障となります。 とにかく技術的に難しいのです。
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(0143) そこで、ウッズ・ホール海洋学研究所と ラトガース大学・海洋沿岸科学研究所が共同で、 沿岸域をより詳しく調査するため、画期的な海中観測機を開発しました。
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(0200) 86年頃だったと思いますが、 私とウッズ・ホール海洋学研究所のクリス・フォン・アルトは、 深海の長期研究の将来について語り合っていました。 私達の実現したかったことのひとつに、 あるひとつのサイトで、継続的な記録をとることがありました。 これを実現する唯一の方法は、潜水艇で深海に潜ることでした。 そこで、クリスは、 タイタニック号の探索に使用された潜水艇を研究しました。
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(0236) この潜水艇は銅線と光ファイバー・ケーブルを通して、 電力供給と情報伝達を行ないます。
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(0244) これにヒントを得て、 海上からではなく、陸地の実験室からケーブルを引いて、 沿岸域の環境を調査できると考えました。 また、インターネットを通してリアルタイムで情報を得ることもできます。 科学者だけではなく、関心のある人なら誰でも情報を利用できます。
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(0309) 両博士が開発した長期生態系観測機「LEO(リオ)15」は、 常設型のセンサー・システムです。 現在は、 ニュージャージー州タッカートン沿岸の海底15メートル地点に設置され、 情報を365日いつでもリアルタイムで提供しています。
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(0334) 沿岸域に遠隔測定機を常設することが目的でした。 常設することにより、 魚と同じようにこの環境を見ることができるはずです。
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(0347) LEO15のセンサーは、 接続された光ファイバー・ケーブルを通して遠隔操作されます。 また、情報もこのケーブルを通して送信され、 インターネットへと送られます。
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(0402) LEO15は、多岐にわたる値を同時に測定するため、 質的に異なった海の様子を見ることができます。 どのようなものが測定されるかといいますと、 水温、塩分濃度、系の一次生産量、海水中の粒子、酸素量などが、 測定されます。
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(0426) 海中の様子を見るため、LEO15にはビデオカメラが搭載され、 海中顕微鏡も開発されました。
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(0437) さらに、まわりの音を聴くための水中マイクも搭載されています。 魚の群れや海水の動きを耳で聴くことができるため、 別の感覚を通して周囲の様子を知ることができます。
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(0456) 光ファイバー・ケーブルは、情報が収集される地上局から出ています。 水路下を通り約11キロの地点で、 2つの観測用器材の1つに接続されます。
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(0513) 器材には、流速計、垂直移動装置、そして、自律型モーターが含まれます。
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(0520) 垂直移動装置には、 塩分濃度/水温/水深センサー「CTD」が接続され、 異なる水深における塩分濃度、水温そして透明度を測定するよう インターネットを通じてプログラムすることができます。
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(0536) 一方、音響ドップラー海流表示装置「ADCP」は、 海流の様子を3次元で描き出します。 REMUS(リーマス)と呼ばれる装置も近々加わります。
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(0549) REMUSは、観測用器材につながれ、 基本的に、遠隔操作されると言っていいでしょう。 地上局からコースをプログラムすることができます。
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(0605) LEO15の水中センサーにくわえ、 人工衛星と海洋調査船が沿岸域の姿を克明に捉えます。
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(0614) 海底で得られた情報を、 より広い範囲をカバーする人工衛星の情報と照らし合せます。 何か変わったことがあると船に乗って現場に向かい、 海底から伝えられてきた情報の真相を確かめます。
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(0636) LEO15は、これまでにない海の姿を伝えてきています。
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(0642) 考えたこともないほど、激しく変化していることを知りました。 わずか10分で水温が5度も変わるところも目撃しました。 データがそろう以前なら、誰も信じなかったことでしょう。
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(0701) 同プロジェクトの最大の課題は、 湧昇(ゆうしょう)と呼ばれる現象が環境に与える影響を調べることです。
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(0710) LEO15で最も重要な出来事は夏の湧昇です。 湧昇は海水の低酸素化現象で比較的頻繁に起こります。 ですから、小規模の観察も可能です。 バカガイの出生率や生存率など、 この自然現象が生態系の様々な側面にどのように影響しているかを 詳細に調べることができます。
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(0749) 南西から吹く風が、ニュージャージー州沿岸の海水を沖合へと動かします。 表層の暖かな海水がなくなると、 そこには下層の冷たい海水が上がってきます。 この現象は一般に沿岸域で起こります。 夏になると海水浴をしに大勢の人がニュージャージー州を訪れます。 しかし、湧昇は一番暖かい時期に起こります。 南西からの風はメキシコ湾の暖かい空気を運んできますが、 暖かい海水を押しのけ、冷たい海水を浮上させるのです。
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(0830) 湧昇は環境に深刻な影響を与えます。 植物プランクトンは、湧昇が運ぶ冷たい海水中から栄養分をとりますが、 暖かい海水が再び戻ると、死んでしまいます。
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(0846) 湧昇が起こると深海の冷たい海水とともに栄養分が表層に運ばれ、 表層の植物プランクトンはそれを食べて繁殖します。 栄養分が運ばれてくるかぎり植物プランクトンは繁殖し続けます。
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(0908) しかし、毎年、夏も終わりに近づくと南西からの風は止みます。 すると、暖かい海水が再び沿岸域に戻ってきます。 そして、冷たい海水は下層へと沈みます。 死んでしまった植物プランクトンは、海底に沈み腐食します。 腐食には酸素が必要ですが、魚も呼吸をするのに酸素が必要です。
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(0942) 酸素の量が減ると、魚は死ぬかその海域を離れます。 海底のLEO15と人工衛星NOAA(ノア)からの映像をもとに、 プロジェクト・チームでは湧昇を事前に予測することができます。
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(1000) 同チームは、海洋における化学組成の追跡も行なっています。
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(1006) 私は海洋化学を専門としています。 当プロジェクトでは、 毎月、LEO15周辺でサンプリングを行ない、 パラメーターとなる化学組成のモニタリングを担当しています。 地上局、そして海洋調査船を利用して、 LEO15のまわりの 溶存酸素量、栄養分、二酸化炭素量などのパラメータを、 必要に応じて測定しています。
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(1048) 私達の研究室では、 この沿岸域が二酸化炭素の貯蔵庫として、 一年を通じてどのような働きをしているかを、 大気組成と関連づけて捉えようとしています。 大気中の二酸化炭素濃度は、人間活動によって上昇しています。 海洋は、二酸化炭素の主要な貯蔵庫でもあるのですが、 二酸化炭素の沿岸域への影響については、ほとんどわかっていません。 ですから、二酸化炭素の貯蔵庫としての沿岸域の役割を確認したいと 考えています。
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(1142) 当プロジェクトでは、このようなサンプリングだけではなく、 リアルタイムでデータを収集できるLEO15のセンサーを利用して、 パラメーターとなる主要な化学組成を継続的に追跡してゆきたいと 考えています。
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(1206) LEO15の研究は、魚の管理にも応用されます。
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(1211) 漁業管理の上で忘れられていたもののひとつに、 個々の魚と環境との細部にわたる相互作用の理解があります。 原因のひとつに、 魚と同じ視点からものを見る手段がなかったことが挙げられます。 ですが、海底にカメラを常設したことにより、 これまで以上に魚の行動が理解できるようになるはずです。
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(1242) LEOや他の海中観察から、 豊富にいる非常に小さなエビが、実は、 小さな魚の捕食者であったことがわかっています。 こうした知られざる事実が明らかになっているのです。 そのうち魚は大きくなってエビを食べるようになります。 ですが、小さいときは食べられてしまうのです。 このように、これまでは知られていなかった事実が見えてくるのです。
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(1317) 魚の個体数の変動を理解してみると、 それは自然なことでどうしようもない、ということになるかもしれません。 または、 漁獲などの人間活動が原因になっている、ということになるかもしれません。
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(1336) この地域で重要な水産物はバカガイです。
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(1341) 初めて、散布段階にあるバカガイが、 物理的環境とどのように相互作用するかを知ることができました。
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(1351) バカガイ科の中でもこの種は、 ニューファンドランドからケープ・ハッタースに分布しています。 ですが、漁獲の多くはニュージャージー州北部です。 2千2百万ドル市場と聞いても、それほど大きくはありませんが、 最近の漁獲高の低下を考えると意味のある数字だと言えます。
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(1421) LEOはバカガイのリクルート行動を観察する機会だけではなく、 大陸棚に関する連続的な環境データを提供する初の試みではないでしょう か。 必要時に、嵐のために出かけられないということはありません。 継続的な環境データを入手できることは最高のことだと思います。
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(1456) バカガイ漁業の成功は、 散布段階にうまく海底に辿り着き、 十分な餌にありつけるかどうかにかかっています。 また、幼生期に捕食者と同じ海流に乗るかなど、 捕食者との相互関係にも依存します。 捕食者が海底までくるか、 若いバカガイが海底にうまく辿り着くかは、 その年の漁業が成功するかどうかを判断する上で非常に重要な要素です。
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(1541) 海洋はこれまで知られていた以上に激しく変化しています。 海底に設置した一連のセンサーが、 光ファイバー・ケーブルで地上局につながっており、 情報はインターネットに送られます。 かつてないほど、情報が入手しやすく、連続的で、しかも豊富なのです。
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(1605) 研究者たちは、 同プロジェクトは世界の沿岸域に生活する人々にとって意義深いと話します。
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(1615) 観測用器材をもっと設置したいと考えています。 これを地域的にではなく、多くの沿岸に設置し、 LEOシステムのネットワークを築きたいと考えています。
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(1634) 膨大な量のデータをどうするかが今後の課題のひとつでしょう。 膨大なデータが1~2週間で集まってくるのです。 処理しきれないとは思いません。 ですが、このプロジェクトによって得られる情報には改めて驚かされます。
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(1704) LEOを設置した後、 国内外から、同様のシステムを設けたいという電話がきています。 深海の熱水口にシステムを置きたいという話もあります。 この場合、費用はかさみますが、 基本的なハードは同じなので、あとはケーブルを伸ばすだけです。 遠く日本からも問い合わせがきています。 海洋の環境に対する理解が深まれば、 保護の対象となるもの、漁獲の対象となるもの、 どちらの管理もしやすくなります。
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(1746) LEO15から送られてきたデータの分析は始まったばかりです。 しかし、この技術は、世界において今後の海洋研究の基本となるでしょう。 LEO15のホームページは次の通りです。http://MARINE.RUTGERS.EDU.
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(1806) 番組では、今後もLEO15の発見を追います。 トム・ドーリック、そして…、
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(1814) コニー・レーンがお届けしました。さようなら
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